2015年6月27日

【コミック・映画の紹介】 夕凪の街 桜の国


 -【コミック】-----------------
 書 名 夕凪の街 桜の国
作 者 こうの史代
出版社 双葉社
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-【映画】----------------------
 タイトル  夕凪の街 桜の国
出  演  麻生久美子
      田中麗奈
      堺 正章
監  督  佐々部清
封  切  20077
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漫画家こうの史代さんのコミック「夕凪の街 桜の国」と、それを原作として2007年に製作された映画です。
前半の「夕凪の街」は広島で被爆した女性の話、後半の「桜の国」は被爆2世の女性とその家族の話です。 

「夕凪の街」は原爆投下から13年後の広島が舞台です。
淡々とした物語の中、消えることのない傷跡を抱えた身体、幸せを感じる度にフラッシュバックする原爆投下直後の広島の様子。
なかでも印象的なのが主人公の
 「誰かに死ねばいいと思われたのに生きてる」
 「原爆は落ちたんじゃなくて落とされたんよ」
というセリフです。
戦争が終わってもなお、苦しみが続くことが痛々しいほどに描かれています。
終戦後、復興していく夕凪の街で、強く生きていこうとする女性の姿。そんな彼女に振りかかる、無情なまでの悲しい運命に心を締めつけられます。 

「桜の国」は私達が今生きている、平成が舞台です。
この物語の主人公は「夕凪の街」の主人公の姪にあたる女性。突然何も告げずに広島に出向いた父を追ったことから、被爆した母の死、弟の病気、弟が恋人との結婚を恋人の両親から反対されていることなど、主人公を取り巻く原爆の影と向き合っていくことになる主人公の姿、被爆2世への世間の目が描かれています。
原爆の悲劇はその時だけで終わらない。次の世代である現代にも悲劇や苦しみが続いているという、悲しくて恐ろしい現実が桜の街から伝わってきます。 

どちらも淡々と進んでいく物語の中に、二人の女性の平和への祈りが、静かに強く伝わってくるでしょう。そして同時に現代の平和な日本に生きる私たちに戦争、原爆、平和について考えさせられる物語です。
是非ご一読、ご鑑賞下さい。あなたにとって平和とはなんですか?
(我孫子市平和事業推進市民会議 まゆ:大学生)

【杉村楚人冠記念館企画展】 戦時下のアサヒグラフ

我孫子市杉村楚人冠記念館で、企画展「戦時下のアサヒグラフ」が開催されます。

■開催日程  平成27714()104()
■主な展示品 『アサヒグラフ』昭和1910月~203
       米軍撒布伝単
■開館時間  9001630(入館は1600まで)
■休 館 日  月曜日(720日、921日は開館)
        721日、924
■入 館 料  一般300円/高校・大学生200
       中学生以下無料 団体20名以上2割引 
 

  苦境にたつ前線の兵士、

    軍需産業に駆り出された人々、

      親元を離れ疎開した子ども・・・

  言論の自由無きメデイアは、

     どう報じていたのか。 

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杉村楚人冠(本名 杉村廣太郎)は、明治末期から昭和前期の東京朝日新聞で活躍したジャーナリストです。日本で初めて新聞社に調査部や記事審査部を設け、新聞の縮刷版を企画、発行するなど、先進的な新聞人でした。『アサヒグラフ』の創刊も楚人冠の仕事です。
楚人冠は関東大震災で二人の子どもを失ったのを機に一家で我孫子に転居しました。以後、我孫子ゴルフ倶楽部の建設を町長に進言したり、手賀沼の干拓に反対し景観保護活動に取り組むなど、風光明媚な郊外の住宅地、観光地としての我孫子の発展に尽力しました。一方、主宰した俳句結社「湖畔吟社」をはじめ、我孫子の人々と親しく交わり、慕われました。

 ・ 我孫子市杉村楚人冠記念館

2015年6月24日

平和への願い  - 我孫子市教育長 倉部俊治 -

戦後70周年を迎える今年もまた、我孫子市から被爆地広島に24人の中学生を送り出します。

より多くの中学生に平和の尊さを感じて欲しいとの市長の思いで、今年は例年の倍の人数の派遣となり、教育長として私も参加させていただくこととなりました。
中学生たちがどのような思いを持ち帰るのか、とても楽しみです。
私も中学生たちと一緒に感じてみたいと思っています。 

戦後60周年の年に私は沖縄を訪ねました。その中で、現在の日本人が享受している平和な生活は多くの人の血と悲しみの上に成り立っていることを強く感じました。
被爆地広島や長崎、特攻隊基地知覧などを訪れた時に感じたのは、戦争は決して遠い存在ではなく、私にとっては親の、子どもたちにとっては祖父母の時代まで現実としてあったことなのだという事です。 

自分もまた戦争を知らない世代ですが、実体験を持つ親から戦争の悲惨さを学びました。
父の所属する部隊は沖縄近くの小さな島で終戦を迎えました。母は3月10日の東京大空襲では降り注ぐ焼夷弾の雨を避けて逃げ、気が付いたときには叔父に手を引かれ焦土の中を歩いていたそうです。
今の子どもたちは、このような戦争体験を聞くことさえ難しいのですから、おそらく他人事の様に戦争を感じてしまうのではないでしょうか。 

6月20日に、かつて「派遣中学生」として広島・長崎を訪れ学んだメンバーが、今度は語る側として戦争の悲惨さと平和の尊さを小学生たちに伝える「リレー講座」が、我孫子第一小学校で開催されました。年齢の近いお兄さんお姉さんの話は、きっと子ども達の心に届いたはずです。このような取り組みがこれからも続いていくことを願います。 

教育委員会としてこれからも、人々の心の中に平和の砦を築く教育を積極的に進めていきたいと考えます。

【映画の紹介】 ヒロシマナガサキ


-【映画】-----------------------------------------
  タイトル       ヒロシマナガサキ
                        原題 White Light, Black Rain
      監  督      スティーヴン・オカザキ
      公  開  20071
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この映画は、日系米国人監督のスティーヴン・オカザキがインタビューアとなって、広島原爆・長崎原爆の被爆者14名と、投下に関与した米国側の関係者4名に取材したドキュメンタリー映画。

貴重なインタビューの内容にも当時の緊迫した状況がうかがえますが、何より合間合間に流れる貴重な映像たちは、目を背けたくなるほど見ている者に当時の悲惨さを伝えてくれます。

わたしは、今まで原爆投下の日時・場所を知っているだけで「日本には原爆が落とされた。だから今後は原爆なんて落とさせちゃいけないんだ」なんて軽々しく発言していましたが、この映画を見て、そんな自分が恥ずかしく思えてきました。

内容は少々ショッキングな部分もありますが、わたしからすれば見る年齢を選ばず、日本国民であれば一度は見るべきなのではと思う、そんな映画です。
 
(我孫子市平和事業推進市民会議 谷本:大学生)

【上映会案内】 映画「ひろしま」


映画「ひろしま」の上映会をご案内します。
自らも広島で被ばくした教育学者・長田新が編集した「原爆の子〜広島の少年少女のうったえ」(岩波書店、1951年)を八木保太郎の脚色により、1953年に制作された映画。月丘夢路、岡田英次、山田五十鈴らが出演。被爆の8年後に広島市民らの協力により撮影が行われ、被爆を経験した多数の市民が手弁当でエキストラ出演していたそうです。

左の画像クリックにより参照できるチラシの裏面(2ページ目)には、女優の吉永小百合さんからの推薦メッセージなどが掲載されています。


■上映日時:   2015725()
                      1000      1400      1800
■会  場:   けやきプラザ 2階 ふれあいホール
■チケット:   大人/大学生 1,000円 高校生 500円 中学生以下 無料
■主  催:   あびこで映画「ひろしま」を観る会
■後  援:   我孫子市 我孫子市教育委員会 我孫子市社会福祉協議会
                     我孫子市原爆被爆者の会 他

      ※ 詳細については、チラシ(左上画像)をクリック。

2015年6月16日

【本・映画の紹介】 父と暮せば


-【本 (戯曲)-------------- 
 書 名          父と暮せば
 著 者          井上ひさし
 出版社          新潮社
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-【映画】-------------------
 出 演          宮沢りえ
                      原田芳雄
                      浅野忠信
 監 督          黒木和雄
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戯曲の作者は、「ひょっこりひょうたん島」や「吉里吉里人」の作者である井上ひさし。広島に暮らしていた父娘の被爆後を描いています。
映画では、娘を宮沢りえさん、父を原田芳雄さんが演じています。
原爆がどれほど人々の暮らしと心を踏みにじったかが描かれていますが、映画を観て印象に残るのは、宮沢りえさんの広島弁の語り。
広島に限らずどこの地方のことば(方言)であれ同じだと思いますが、ことばには、そこに根づいて暮らす人たちの生活の歴史とそこから滲み出る情感が込められています。宮沢りえさんの広島弁にはそんな情感が強く感じられ、たいへん心に沁みます。
原爆はそうしたことばで暮らす人たちの生活の歴史を断ち切り、心を踏みにじっていったのだということが、読む者、観る者の記憶に刻み込まれる作品です。
井上ひさしの原作なので、筆致はむしろユーモアに溢れています。だからこそなお、原爆が何をもたらしたのかが、却って忘れられないメッセージとして伝わってきます。
広島弁に馴染みのない方は、映画を観てから戯曲を読むと、紙面の広島弁から広島に暮らしていた人びとの情感が一層伝わってくるかもしれません。
おすすめの本と映画です。 

今年の12月に、山田洋次監督の「母と暮せば」という作品が公開されます。
広島、長崎、沖縄を描いた作品を残したいと考えていた井上ひさしの遺志を引き継いで、
長崎をテーマに、「父と暮せば」のシチュエーションをなぞって製作されているようです。
出演は、吉永さゆりさん(母役)、二宮和也さん(息子役)
戦後70年に、山田洋次監督が長崎を舞台に描くこの作品も、是非観たいものです。
■「母と暮らせば」公式サイト  http://hahatokuraseba.jp/
 
(我孫子市平和事業推進市民会議 恒)

2015年6月6日

小学校リレー講座部会の検討会の様子から

 平和事業推進市民会議では、4つの部会に分かれて、今年の平和事業の検討を進めています。

そのうちの小学校リレー講座部会では、これまで広島や長崎に派遣され、現在は社会人・高校生・大学生となった当時の派遣中学生たちが、市内の小学校で平和に関する講座を行います。

今、この講座に向けて、部会メンバーが、仕事や部活、学校が終わった後にあつまって、講座の検討、練習を重ねています。

講座では、広島・長崎への派遣体験を通して感じたことを伝え、原爆や戦争について意見を出しあい、小学生と一緒に、「平和ってなんだろう?」を考えていきます。
年齢の近い若い部会メンバーの熱い思いが、きっと講座を聞いてくれる小学生の心にも届くことと思います

我孫子市平和事業推進市民会議の紹介

  本ブログの運営を含む我孫子平和事業の企画・運営を担っている我孫子市平和事業推進市民会議(以下、「市民会議」と略称します)の紹介をさせていただきます。

本市民会議は、平成207月施行「我孫子市平和事業推進条例」に基づいて設置されている会議であり、公募市民、我孫子市内の市民団体に属する者、市内大学在学生、市内在住高校生などのメンバーが、我孫子市長からの委嘱を受けて構成しています。

例年は15名以内のメンバーで構成される本市民会議ですが、【戦後70年・我孫子市平和都市宣言30年】の節目にあたる本年は、規則により30名弱のメンバーが構成する拡大市民会議となっており、これまでに我孫子市平和事業の一環である派遣中学生として広島や長崎の平和記念式典等への参加を体験したかつての中学生、今は高校生・大学生となっている若い世代も多数参加しています。

本年の市民会議は、以下4部会にわかれて、平和事業の企画・運営に取り組んでいます。

 (1) イベント部会

戦争に関する写真展や講演会などのイベントの企画を担当します。

(2) 小学校リレー講座部会

広島・長崎を派遣中学生として体験したメンバーを中心に、平和に関する講座を我孫子市内小学校でリレー開催する企画を担当しています。

(3) ホームページ部会

本ブログの企画・運営を担当しています。

(4) 記念誌部会

戦争体験手記や、派遣中学生からの寄稿、平和事業の記録などをまとめた記念誌の編集を担当しています。
 
517日運営委員会に集まった市民会議メンバー

 写真を見ていただければおわかりいただける通り、幅広い年齢構成で運営する市民会議の本年の取組みが、皆さんが平和を考え、祈る機会へとつながることを願っています。

我孫子市平和事業推進市民会議 (我孫子市HP)