2016年10月19日

【本の紹介】 綾瀬はるか 「戦争」を聞く



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 書 名 ① 綾瀬はるか 「戦争」を聞く
     ② 綾瀬はるか 「戦争」を聞く Ⅱ
 著 者 TBSテレビ『NEWS23』取材班 編
 出版社 岩波書店(岩波ジュニア新書)
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紹介する二冊、①はTBSテレビで放送された戦後60年記念企画「ヒロシマ」(2005)および、『NEWS23クロス』のシリーズ「綾瀬はるか『戦争』を聞く」(20102012年放送分)、②は同『NEWS23』のシリーズ「綾瀬はるか『戦争』を聞く」(20132015年放送分)に取材内容を追記して書籍化したものです。
女優の綾瀬はるかさんは、ご自身が広島市の出身。2005年にTBSテレビ戦後60年記念企画「ヒロシマ」で故・筑紫哲也氏とナビゲータを務めた際に、テニアンやサイパンの戦跡を取材、ご自身のお祖母様の被爆体験も初めて聞いたそうです。(姉を原爆でなくされたお祖母様の話は、②に収録されています。) 

この二冊で紹介されている戦争・被爆を体験された方々への綾瀬さんのインタビュー(「聞く」)は、広島、長崎から、沖縄、奄美、ハワイ、さらに、広島の原爆と東日本大震災の津波をともに体験された方にお話を聞くため陸前高田市にまで及んでいます。
綾瀬さんは1985年の生まれ。この二冊に掲載されている多く方々から伺った戦争・被爆体験のお話は、ちょうど二十歳代にあった綾瀬さん10年間の「聞く」の積み重ねにあたります。綾瀬さんは、2010年からだけでも40名以上の方々にお話を伺ったそうです。
なかには、ご自身のつらい体験を話すことを躊躇された方もいたそうです。そんな時、綾瀬さんは「今ここでこのお話を記録させてもらわないと、もう二度と聞けないかもしれない、とても大事なことを私は教えていただいているんだ」と思われたそうです。お年寄りに寄り添う綾瀬さんの人柄がお話しくださる方の心を開いたこともあったようです。 

お話を聞かせてくださった方のなかには、その後まもなく亡くなられた方もいらっしゃいます。戦争や被爆の体験をされた方々から直接お話を伺える機会は、ますます限られてきます。であればこそ、二十歳代の綾瀬さんが取り組んだ【「戦争」を聞く】 を、多くの中高校生に共有していただきたいと思います。
たいへん読みやすく、とても心に響く本です。我孫子市民図書館に蔵書がありますので、ぜひ借り出して読んでみてください。 

(我孫子市平和事業推進市民会議 恒)