書 名 原爆供養塔
著 者 堀川
惠子
出版社 文藝春秋
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広島市の平和記念公園、三角形に尖った中洲の北端、T字型という珍しい形であることから米軍機の原爆投下目標点となったといわれる相生橋。その相生橋から近いところに原爆供養塔があります。この供養塔には、被爆者七万人の遺骨が眠っています。被爆前までこの地にあった浄土宗・慈仙寺の前に、被爆直後より市内から多くの遺骨が運び込まれ、1955年に現在の原爆供養塔が築かれました。
供養塔ができて後40年余にわたって、供養塔に日参し、供養塔周辺を掃き清め、平和記念公園を訪れる人に語り部として広島の原爆を語り継いできた佐伯敏子さんという方がいらっしゃいます。2015年、今年で96歳になるそうです。
「原爆供養塔」を今年5月に出版した著者堀川惠子さんは、元広島テレビ放送の報道記者。佐伯敏子さんに出会った堀川さんが書いたこの本は、親族13人を原爆で亡くした佐伯敏子さんが、原爆供養塔に通いつめ、名前がわかっていながら引取り手がなかった遺骨の遺族を探し続けて、「ヒロシマの大母さん」と呼ばれるようになったその半生を綴り、さらに病に倒れた佐伯さんの意志を継ぐかのように遺骨の身元探しを始めて、多くの人を訪ねて、初めて本当のヒロシマと向き合ったという著者自身の体験を伝えています。
70年を経ても、決して終わることのない被爆の重い現実が伝わります。
是非、読んでいただきたい一冊です。
今夏、広島市は原爆供養塔の内部を10年ぶりに報道各社に公開しました。
広島市は、氏名が判明しながら遺族のわからない遺骨について納骨名簿を公開しています。
(我孫子市平和事業推進市民会議 恒)
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