-【コミック】-----------------
書 名 夕凪の街
桜の国
作 者 こうの史代
出版社 双葉社
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-【映画】----------------------
タイトル 夕凪の街
桜の国
出 演 麻生久美子
田中麗奈
堺 正章
監 督 佐々部清
封 切 2007年7月
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漫画家こうの史代さんのコミック「夕凪の街 桜の国」と、それを原作として2007年に製作された映画です。
前半の「夕凪の街」は広島で被爆した女性の話、後半の「桜の国」は被爆2世の女性とその家族の話です。
「夕凪の街」は原爆投下から13年後の広島が舞台です。
淡々とした物語の中、消えることのない傷跡を抱えた身体、幸せを感じる度にフラッシュバックする原爆投下直後の広島の様子。
なかでも印象的なのが主人公の
「誰かに死ねばいいと思われたのに生きてる」
「原爆は落ちたんじゃなくて落とされたんよ」
というセリフです。
戦争が終わってもなお、苦しみが続くことが痛々しいほどに描かれています。
終戦後、復興していく夕凪の街で、強く生きていこうとする女性の姿。そんな彼女に振りかかる、無情なまでの悲しい運命に心を締めつけられます。
「桜の国」は私達が今生きている、平成が舞台です。
この物語の主人公は「夕凪の街」の主人公の姪にあたる女性。突然何も告げずに広島に出向いた父を追ったことから、被爆した母の死、弟の病気、弟が恋人との結婚を恋人の両親から反対されていることなど、主人公を取り巻く原爆の影と向き合っていくことになる主人公の姿、被爆2世への世間の目が描かれています。
原爆の悲劇はその時だけで終わらない。次の世代である現代にも悲劇や苦しみが続いているという、悲しくて恐ろしい現実が桜の街から伝わってきます。
どちらも淡々と進んでいく物語の中に、二人の女性の平和への祈りが、静かに強く伝わってくるでしょう。そして同時に現代の平和な日本に生きる私たちに戦争、原爆、平和について考えさせられる物語です。
是非ご一読、ご鑑賞下さい。あなたにとって平和とはなんですか?
(我孫子市平和事業推進市民会議 まゆ:大学生)