我孫子市では、戦後70年(2015年)から、我孫子市代表として広島平和記念式典や長崎平和祈念式典に派遣されたかつての派遣中学生が市内小学校6年生向けに原子爆弾の怖ろしさ、平和の尊さを伝える授業【リレー講座】を、平和事業の一環として毎年実施しています。
この11月14日に、我孫子市立湖北台西小学校で行われた【リレー講座】の模様を平成29年度の広島派遣中学生である高須万悠香さん(現在高校2年生)がレポートしてくれました。
派遣中学生OB・OG(大学生、高校生、中学生)が伝えてくれる【リレー講座】を通して学んでいく小学生、伝えることを通してさらに学んでいく派遣中学生OB・OGたち。伝え、伝えられることを通して学ぶ【リレー講座】の様子を、高須万悠香さんのレポートを通して、お届けします。
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11月14日、湖北台西小学校でリレー講座が行われました。私はアシスタントとして、6年1組の授業に参加させていただきました。
授業直前、授業内容を確認する講師たち(左端が竹内さん、右端が高須さん) |
1組の授業は、講師の竹内さんの、「『死ね』と口に出してしまうことはありませんか?」という問いかけから始まりました。戦争についての授業と聞いていた小学生は、思いがけない質問に少し驚いているようでした。「口に出したきっかけは、意外と単純なことかもしれないし、本気でそう思っている人は少ないかもしれない。けれど、それを国対国で実行してしまうことが戦争です」と、竹内さん。
原子爆弾に関する説明のあと、「あなたの好きなこと、幸せなことってどんなこと?」というテーマのグループワークが始まりました。今年度は、感染症予防の観点から、ひとりひとり付箋に意見を書いて、班ごとに大きな紙に貼っていくという方式です。小学生は、楽しそうに考えていました。ご飯が食べられること、好きなゲームができること、学校に来ることができること。それらの答えに対し竹内さんは、「これらの幸せは、戦争がないからこそできることではないでしょうか」と、問いかけました。
リレー講座の様子 |
最後に、小学生に、「平和のために今日からあなたができること」というテーマのメッセージを書いてもらいました。難しいと感じている子も多いようでした。手が止まっている子には、講師やアシスタントが声をかけ、一緒に考えます。その中で、小学生同士の素敵な会話を聞きました。
「国の偉い人でもないのに、そんなことできないよ」
「でも、まずはひとりひとりの心がけじゃないの?」
私も、小学生の時、子どもで無力な自分ができることなどないのではないか、と考えました。今となっては、小さな行動のひとつひとつが平和に繋がるのだと思っています。しかし、この結論に至るまでには長い時間がかかりました。今でも、迷うことがあるくらいです。ですから、小学生同士の会話から、あのような言葉を聞くとは思いませんでした。凄いことだと思いましたし、いかに小学生が平和について真剣に考えてくれているか分かり、とても感動しました。
授業の終わりに、竹内さんは、「戦争について知ることが大切」とまとめました。正しい知識がなければ、何かを考えることもできません。まず、知ること。私たちも、これからも学び続けていかなければならない、と改めて思いました。
私は、小学生の時に受けたリレー講座がきっかけで、派遣中学生になりました。リレー講座は、小学生に広島、長崎で学んできたことを伝えて、平和について考えてもらうきっかけをつくることを目的としています。それとともに、伝える側の講師、アシスタントにとっても、平和について改めて考えることができる時間です。そして、先輩の講師から、後輩の講師へ。講師から、子どもたちへ。色々な“リレー”が生まれます。こうして派遣中学生OGとして、講師またはアシスタントとして、この“リレー”に関われていることがとても幸せです。取り組み開始から6年目となったリレー講座。これからも、ひとつひとつの“リレー”を大切に、取り組んでいきたいです。
我孫子市平和事業推進市民会議委員 高須万悠香(平成29年度広島派遣)
リレー講座終了後、小学生たちが描いた平和のメッセージを貼った平和の木を囲んで |
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