書 名 光に向かって這っていけ -核なき世界を追い求めて
著 者 サーロー節子、金崎由美
出版社 岩波書店
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「光に向かって這っていけ」はICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のノーベル平和賞授賞式で被爆者としてスピーチをしたサーロー節子さんの自伝です。そして、被爆後74年間「ヒロシマの心を世界へ」と核なき世界を追い求めて行動してきた軌跡です。2018年夏、中国新聞朝刊に掲載された節子さんの自伝連載「生きて」に、中国新聞社(現在はヒロシマ平和メディアセンター)の金崎由美さんがカナダのトロントにある節子さんの自宅を訪ねて、また節子さんの帰国の折にインタビュー取材を重ねて加筆し、新聞社、ヒロシマ平和メディアセンターの協力を得て2019年7月に岩波書店より出版されました。「光に向かって這っていけ、諦めるな、光が見えるだろう?」8月6日午前8時15分、広島女学院高等女学校の2年生で、第二総軍司令部の暗号班に配置されこれから作業という時。爆風で倒壊した建物のがれきの下で見知らぬ人にかけられた言葉にそれからの人生を支え続けられた節子さん。「あの日」生と死をわけたものはなんだったのか。生き残った、その意味を求め続けました。
「アクティビズム(行動主義)」の出発点となる広島流川教会の谷本清牧師や夫であるカナダ人のジム・サーローさんとの出会い。また、ICAN・ピースボートの川崎哲さん、NPT(核拡散防止条約)などの世界の平和活動家たちと出会い、連携して活動を続けてきた不屈の人の全貌が伝わります。「ノーベル平和賞授賞式での感動的なスピーチはどこから」。それは、節子さんの行動と強い意志から生まれた言葉のもつ力であると。中国新聞社はニューヨーク支局を置いていたときもあり、サーローさんの北米での活動は早くから紙面上で紹介されていたそうです。
金崎由美さんはあとがきにこのように綴っています。
「多文化主義の国カナダといえども、マイノリティーである日本出身女性で子育てしながら、仕事と反核運動の両方で先駆的に活動した、その努力と突破力は並大抵のものではなかったろう。」2020年1月、88歳になりさらに行動し続ける節子さんの人生に触れていただけたらと思います。
(我孫子市平和事業推進市民会議 見城)
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