2022年6月19日

平和への願いを伝えるリレー講座講師たちの想い ~リレー講座講師懇親会模様の紹介~

44日、我孫子市平和事業リレー講座の講師を務めている講師の皆さんが集まる懇親会が今年度初めて催されました。我孫子駅南口にあるけやきプラザ9階ホールの広々とした会場に、リレー講座講師を何度も務めてきた大学生から、これからリレー講座講師として小学生に平和への願いを伝えたいと考えている中学生まで、およそ20名の若者が集まりました。

 懇親会は、初めに戦後70年にリレー講座が開始された当初から講師の支援にあたっている我孫子市原爆被爆者の会の的山ケイ子さんによる、若い参加者に向けた講話から始まりました。講話の要点は、以下の2点でした。

1.    リレー講座は、小学6年生に向けて大人である教師が行う授業とは異なって、年齢の近い派遣中学生OBOG(大学生、高校生、中学生)が語りかけることに意義があるということ。若い講師の言葉には、小学生の心に直接に響く力があるということ。

2.    ウクライナ侵攻という事態に直面する中で、「人の手によって作られた原爆は、人の意思によって無くすことができる」という被爆74(2019)長崎平和祈念式典での田上市長の言葉をあらためて思い起こし、草の根の平和活動であるリレー講座は、小学6年生の子どもたちに「平和の種」を植える取組みなのだとあらためて感じたということ。 

的山ケイ子さんによる講話

 的山さんの講話の後は、参加したメンバー(大学生、高校生、中学生)が、リレー講座に寄せる思いを出し合い、意見の交換をしました。その中から、いくつかの発言をご紹介します。

1.    リレー講座の講師をしている中で、「これをやっていることに意味があるのかな」と思うことがあった。その時に私が通っている高校の先生が、「平和について、こんなふうに考えている高校生がいるっていうことを小学生に伝えることだけでも、意味があるんだよ」と言ってもらった。

2.    自分は小学6年生の時のリレー講座で衝撃を受けて、中学生になって広島派遣に行ってみたいと思っていた。

3.    私の母方のひいおじいさんの兄弟が特攻隊員だった。これまでそういう話を聞く機会もなかったのだけれど、私がこのような平和活動をしていると話したら、その特攻隊員だった人が飛び立つ前に送ってきたという手紙をおばあさんが私に見せてくれた。手紙には、「ぱっと清く散って行ってまいります」と書いてあった。こういう人が身近にいると知って一層、リレー講座を通して平和を伝えていきたいという思いが強くなっている。

4.    たとえば30名のクラスで30名の子どもたちに講師である自分の考え方を押し付けるのではなくて、30名の子どもたちが考えてくれることが大事かなと思う。自分の関心を押し付けるのではなく、子どもたちの関心を引き出すことが大事。小学生が自分から考えてくれるように対応することが大切だと感じている。

5.    【中学生参加者からの質問】日本には原爆被害の事実もあるけど、加害の事実もある。加害の事実があることも小学生に伝えた方がよいのではないかと思ったりしますが、どう思いますか。

【大学生参加者からの応答】僕も日本の立場からの被害の歴史だけを伝えれば済むとは思っていないので、リレー講座の最後で、「今話したことは日本からみた目線のことだけで、今は時間がないのでそこまで伝えられないけど、これ以外にアメリカやその他の地域からみた側面もあり、これから皆さんが勉強していく中でいろんな側面も見えてくると思う。ひとつだけに絞らず、いろいろな視点から考えみてほしい」と伝えるようにしている。

6.    【懇親会参加者である中学生の発言】 小学校6年生の時に受講したリレー講座で、講師(今日、この懇親会に来ている大学生)の話がとても聞きやすかった。そのころは戦争のこととかぜんぜんわかっていなかったけど、自分の意見とかも持つことができるようになった。その時のリレー講座の感想シートの紙をまだ大切に持っている。私の感想に対して講師の人がコメントをたくさん書いてくださったのがとても嬉しかった。小学6年生からするとコメントを書いてもらえることが嬉しいし、自分の意見を認めてもらえたようで嬉しかったのを今でも憶えている。

【感想シートにコメントを書いた大学生の発言】何年もたった今でも感想シートを持っていてくれているという話がとても嬉しかった。リレー講座講師の先輩から「クラス全員に伝わらなくても、その中の一人にでも伝わったらそれでいいんだよ」と教わっていて、そう思いながらも、「伝わっているかなぁ」と思ってきたけど、伝わっているって教えてもらえて、やってきた甲斐があったなというか、すごく救われた気持ちになって嬉しかったです。

リレー講座講師たちによる意見交換の様子

 参加者によるリレー講座への想いの表現、意見のやりとりは、まだまだありましたが、上記に紹介させていただいた内容だけでも、これが中学生から大学生までの世代の若者の間で自主的に交わされたやりとりであることに、大きな感銘を受けます。

 我孫子市において、確かに「平和の種」が芽吹いているのだと感じることのできるリレー講座講師の懇親会でした。 

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