この夏も、我孫子市から被爆地に中学生が派遣されます。
我孫子市では、2005年(戦後60年)から、平和事業の一環として、毎年8月に広島市平和記念式典または長崎市平和祈念式典に、市内の中学生を代表団として派遣しています。今年は広島派遣の年ですが、昨年同様、多くの人びとが広島に集まる平和記念式典の日程を避け、8月9日から11日までの日程で、広島を訪問します。
8月の派遣に向けて、7月21日(水)、広島に派遣が予定されている12名の中学生(2年生)が我孫子市役所に集合、顔合わせと「事前学習会」を実施しました。
「事前学習会」では、「我孫子市原爆被爆者の会」の的山ケイ子さんからのお話を聴きました。的山さんは、1945年8月9日、長崎でお母様の胎内にある状態で被爆された方です。
的山さんは、先日NHK(Eテレ)で放送された番組『おっぱいの科学』から、熱帯から極地まであらゆる環境に生息する哺乳類の母乳が、哺乳類の種ごとに、子どもが元気に育つための最適な成分になっているという話を紹介された後、「私がお母さんから飲ませてもらったおっぱいは、今から思えば放射能の影響を受けたおっぱいだったんです」と語られました。被爆のその瞬間だけでなく、被爆後も、人の生命に影響を与え続けたという的山さんのお話に、中学生たちは真剣に耳を傾けていました。
的山さんに続いて話をしてくれたのは、中学時代に広島訪問を経験した派遣中学生OGの高須万悠香さん(現在高校3年生)。
高須さんが中学生たちに最初に語りかけたのは、「派遣中学生として訪問した広島の経験を伝えたいと思って私が参加したリレー講座で、最初に出会った小学6年生が皆さんの学年でした」ということでした。今年の派遣中学生12名の中には、2年前に高須さんがリレー講座の場で出会ったかつての小学6年生が含まれていました。高須さんは、中学生たちに酷暑の広島を訪問するにあたってのアドバイス(暑さ対策グッズ紹介など)をするとともに、「広島派遣の後は、派遣の体験をそれぞれの学校で伝えるだけでなく、講師・アシスタントとなって、ぜひ一緒にリレー講座に取り組んでほしい」と伝えてくれました。
派遣に関するアドバイスを伝える派遣中学生OGの高須万悠香さん
事前学習会後に、派遣に同行される星野我孫子市長、丸教育長との意見交換の時間がありました。中学生たちは、派遣に向けた決意を一人ひとりが表明、市長、教育長からは派遣の意義についてお話しいただき、最後に市長からいただいたウィルス対策に関する講話を広島派遣に向けての感染症予防の心得えとしました。
今年も新型コロナウィルス感染収束が見通せない中での広島派遣となりますが、中学生たちが無事に派遣を終え、多くを学んできてくれることを、心から願います。